2019.6.10 ヂヤンテイ君

本機校正、本紙校正、DDCP、色校正にも種類があります

 

 

 

印刷・WEB・ITで、
お客様の「伝えたい」をデザインする会社、
ヂヤンテイシステムサービスの小澤です。

 

印刷の仕事をしていると、
ごく稀にですが、お客様から
「色校正」をお願いします。

 

と言われることがあります。

 

文字の校正ではなく、色の校正である
「色校正」というものが確かにあります。

 

しかし、お客様の認識している
「色校正」がどういうものなのか、

 

そこを確認しないと
「はい、わかりました」と
返事ができないのです。

 

「色校正」にも種類があるからです。

 

本日は、印刷の前に色を確認したい場合の
「色校正」について説明をさせて
いただきます。

 

カラーの印刷物を作る時に、
「色校正」が必須だった時代があります。

 

それはどうしてなのか、分かりますか?

 

「色校正」がないと色の確認が
できなかったからです。

 

カラーのパンフレットやチラシを
つくる時、

 

デザイナーは版下という印刷版の
元になるものを作ります。

 

現在のようにモニターを見て
カラーの確認ができる時代ではなかったので、

 

デザイナーはモノクロの版下を
紙の台紙のようなもので作っていました。

 

デザイン・レイアウトはモノクロで
お客様に確認してもらうことになります。

 

何度も確認を重ねながら、
デザイン・レイアウトが決まっていき、
文字校正を進めていきます。

 

修正する箇所がなくなったら、
校了となり、

 

デザイナーは、この部分は、
M100、Y40などと、

 

版下にカラー指定を書き込み、
次の工程である、製版会社に指示を
だします。

 

版下はあくまでも、モノクロなので、
デザイナーは、自分の頭の中で、
色を想像し、数字で指示をだしていた
ことになります。

 

現在は、PCから印刷機に取り付ける
刷版(さっぱん)と呼ばれる版を
出力することができるのですが、

 

かつては、このようなデジタル出力が
できなかったため、

 

印刷機に取り付ける刷版をつくる
ために、製版という工程がありました。

 

製版フィルムというフィルムから、
刷版を作っていたのです。

 

そしてようやく、校正用の刷版が
出来上がり、印刷機ではなく、
色校正専用機で、色校正を刷ります。

 

今でも都内に僅かに残っていますが、
色校正だけを行う、色校正屋さんがあり、
そこで色校正を印刷していました。

 

CMYKを一度に印刷するのではなく、
CMYKの4版を1色ごとに印刷して、
色を重ねていくのが色校機なので、

 

印刷工場よりも小さなスペースで
印刷ができました。

 

色校正は、確認用なので、大量に
印刷する必要がなく、6枚くらい
印刷するだけです。

 

大量に印刷ができる印刷機を使うよりも、
早く、安く、色校正ができたのです。

 

この色校正が出来上がって初めて、
お客様も、デザイナーも
カラーの状態の版を確認できた
ことになります。

 

現在であれば、プリンターで簡単に
カラーの確認ができますね。

 

そのカラーの確認のために、
色校正をつくる工程が必要だったのです。

 

お客様もデザイナーも、
それまでは、モノクロでしか、

 

印刷するパンフレットやチラシを
見ていないため、

 

初めて色の確認をするという意味で、
「色校正」だったのです。

 

「色校正」でお客様が色に対する
変更の指示があると、

 

もう一度、製版フィルムから
作り直して、あらためて「色校正」を
持参するということもありました。

 

また、「色校正」で色の確認を
しているのに、

 

文字の間違いも見つかり、文字校正に
なってしまうことも往々にありました。

 

現在でも、色校正専用機で印刷をし
色校正をすることがあります。

 

それを、本紙校正と最近では
呼んでいます。

 

本紙とは、実際につくる印刷物で
使用する印刷用紙で、色校正を印刷
することです。

 

印刷用紙によって、色の再現性が違うので、
実際に使用する印刷用紙で、
印刷して確認した方が確実です。

 

しかし、色校正専用機と、
本番の印刷機は、機械の構造が違うため、
まったく同じ色にはなりません。

 

それでは困る。実際に印刷した時の
色の確認をしたいという場合は、
本機校正をすることになります。

 

本機校正は、実際に印刷する紙を使い、
実際に印刷する印刷機で色校正を
印刷することです。

 

実際と同じ条件で印刷するので、
色の確認ということであれば、
これが最も確実ですが、

 

本番の印刷機を、色校正のためだけに
使うことから、時間とコストが
かかります。

 

そのため、そこまでは必要ないという
場合に、先ほどの本紙校正を選択する
ことになります。

 

実際に印刷に使用する
本紙でもなくても良い、

 

もっと安く、早く、色の確認をしたい
という場合は、簡易色校正という
ものがあります。

 

DDCP(ダイレクト・デジタル・カラー・プルーフィング)
と呼ばれるものです。

 

DDCP専用の出力紙、インクで
版を作らないで印刷する方法です。

 

制作したデータを印刷すると、
こんな仕上がりになるという
方向性の確認ができます。

 

合意を意味する「コンセンサス」から
「コンセ」と呼んでいる時代がありました。

 

今でもそう呼ぶこともあるかもしれません。

 

お客様が「色校正」を希望したとしても、
どのくらいのレベルで、

 

色を確認したいのかによって、
色校正の方法が変わるということに
なります。

 

お客様が「色校正」を希望しても、
当社の社内プリンターによる
プリンター校正を希望している場合も
意外とあります。

 

お客様のところにあるプリンターの
出力紙と、出来上がった印刷物の
色が違うからです。

 

当社の社内プリンターは、
印刷機の色調に合わせて調整しているので、

 

お客様のところにあるプリンターよりは、
実際の印刷物に近くなります。

 

プリンター校正のことをプルーフと
呼んでいるのですが、

 

プリンターの性能が良くなって
きていることもあり、

 

プルーフの確認で良いという場合も
結構あるのです。

 

印刷機の色調に合わせていると言っても、
プルーフと実際の印刷では、
あくまでも色が違います。

 

その辺の差を認識した上で、
プルーフの確認を希望される
お客様が多いことになります。

 

PCのモニターで見ている色は、
RCB(レッド・グリーン・ブルー)です。

 

印刷はCMYKなので、色域が違い、
色によっては、かなり違った色に
なることもあります。

 

印刷前に色の確認をしたい場合は、
色校正を依頼しましょう。

 

シビアな色の確認をしたい場合は、
本機校正、

 

方向性だけ分かれば良い
というのであれば、
DDCPか、プリンター校正。

 

その中間くらいの確認をしたい場合は、
本紙校正です。

 

希望した色にならないからと、
印刷をやり直すのであれば、

 

色校正の工程をワンクッション入れて、
確認しておいた方が、結果として
時間とお金の効率が良くなります。

 

印刷の現場も、合わせる色が
あった方が、印刷しやすいのです。

 

印刷物は、印刷物に反射した色を
見ていることになり、

 

見る場所によって、見る人によっても
印象が異なります。

 

だからこそ、最終的な判断を下す、
お客様が実際の色を確認するのが
確実です。

 

印刷物の色が、なかなかイメージの色
にならないという場合は、
色校正を依頼してみてください。