2019.2.23 ヂヤンテイ君

PARCOの接客を真ん中に置いたオムニチャネル施策について

 

 

印刷・WEB・ITで、
お客様の「伝えたい」をデザインする会社、
ヂヤンテイシステムサービスの小澤です。

 

先日、PARCOが店内のカメラを使って、
顧客の行動データを取得する
という記事がありました。

 

日経XTREND:PARCO店内行動データ取得に、プライバシーポリシーより大切な事(2019.2.12)

 

 

とうとう、店内の行動まで
分析されてしまう時代が来たのか、
そんな感想とともに、

 

記事を読んでいくうちに、
PARCOは、オムニチャネル化
かなり前から進めていたことを
知りました。

 

昨年の秋の記事では、
こんな内容です。

 

日経新聞:パルコ、顔画像使ったリピート分析 カメラ230台 (2018.10.26)

 

 

店舗内に設置したカメラを使い、
来店客の画像を分析することで、

 

リピート客であるかどうかを
判定するデータ分析を開始した
ようなのです。

 

顔認識により
来店者属性(年齢・性別)を把握
なんて書いてあります。

 

この話を読んだら、
JRの顔認識する自販機「Acure」を
思い出しました。

 

自販機の前に立つ人の属性を
認識して飲み物をレコメンド
してくれるあの自販機です。

 

10年以上前に登場した記憶が
ありますが、

 

そうか、あれはマーケティング
だったのかと今さらながらに
思いました。

 

購入者の属性、日にち、時間、気温
などの条件だけでも、様々な
分析が可能です。

 

PARCOとしても、スマホ登録していない
非ID顧客も分析の対象とした
ようなのです。

 

店内の行動データを取得する
ことについては、

 

推進してきたオムニチャネル化により、
WEBから来店までと、
購入からその後のデータは取得できる
ようになったものの、

 

来店中の行動だけは、これまで
取得できていなかったからと
説明があります。

 

オムニチャネルを実現できている企業は、
日本にはまだ、存在していない。

 

そんな話がありましたが、
PARCOは、日本では一歩も二歩も
リードしているのではないか、

 

そんな風に感じるようになりました。

 

PARCOといえば、
1980年代の若者文化をけん引する
ような存在でした。

 

パルコ劇場もあり、当時の
渋谷を代表するよう商業施設だった
と思います。

 

当時若者だった自分も利用して
いましが、

 

その後、どうなったのか、
情報がほとんどありませんでした。

 

しかし、このところ、
PARCOはオムニチャネルで
注目度がとても高いことが分かりました。

 

当時と同じように最先端をいっている
のだなと思いました。

 

日経XTRENDの先ほどの記事の
前編として、この記事があります。

 

日経XTREND:パルコのデジタル戦略「24時間PARCO」 成功への着実ステップ(2019.2.21)

 

 

この記事の中に、
重要な話が含まれているため、
紹介をさせていただきます。

 

カメラを導入については、
以下のようなコメント。

 

「テクノロジーを使って接客を拡張する」というコンセプトに基づいています。

 

ついつい、防犯にも、つながるな
と考えてしまうのですが、

 

PARCOが推進してきた
一貫とした考えがあるようなのです。

 

オムニチャネルは、簡単にいえば、
あらゆる場所(タッチポイント)で
お客様と接点をもうとう
という考え方です。

 

PARCOでは、オムニチャネルを
このように定義したそうです。

 

我々がオムニチャネルを実現するのであれば、テナントスタッフの接客を真ん中に置いて、店頭とWeb上で接客できるプラットフォームを作る必要があるという定義をした

 

お客さまへの商品やサービスの提供は、
テナントスタッフを介在して、
必ず行われるので、

 

テナントスタッフの接客を
真ん中に置いたということです。

 

その考え方をスタッフに共有する際に、
オムニチャネルだと分かりにくいことから、

 

「いつでもどこでも、『24時間PARCO』というコンセプトです」

 

と伝えていったそうです。
確かに、分かりやすい。

 

そのため、2012年には、
テナントのスタッフが自由に情報発信
できるように「ショップブログ」を開始。

 

その結果、ブログを見て
商品を買いに来るお客、

 

ブログでスタッフと交流したことで、
「あなたから買いたいから」と
注文してくれるお客がでてきたそうです。

 

店内だけでなく、ブログで接客が
成立したことになり、

 

Web上のコミュニケーションが、
スタッフ個人に対する好意という
エモーションにまでつながった
とあります。

 

店内にいなくても、こういう接客交流が
できることが、先ほどの表現だと、
「接客を拡張する」ことなのだと思います。

 

その後、SNSアカウントの運用や、

 

「カエルパルコ(現:PARCO ONLINE STORE)」
「POCKET PARCO」などの、

 

PARCOの公式スマホアプリの話が
続くのですが、

 

個人的に注目したのは、
このブログによる情報発信と、
そのプラットフォームを作ったことです。

 

これまで調べてみたオムニチャネルの
具体例は、テクノロジー寄りの
話が多かったのですが、

 

こうしてシンプルに接客を中心に
置くとすれば、重要なのは、
心の交流であり、

 

そのためにテクノロジーや、
オムニチャネルの考え方を活用するのだ
と考えることができます。

 

「POCKET PARCO」をインストールし、
「ショップブログ」にあたると思われる
「ショップニュース」を見てみました。

 

かいつまで見ただけなので、
何とも言えませんが、

 

各テナントごとに、商品紹介が中心
になっていて、もっとブログ情報発信者
の個性が伝わるものにしても
良いのではないかと思いました。

 

「オンラインストア」と、「ショップニュース」
の項目は別になっていて、

 

「ショップニュース」の記事の商品紹介から、
そのまま商品購入ができれば良いになあ
とも思いました。

 

「カエルパルコ」のアプリでは、
ブログにカートボタンを付けたり、
店頭で取り置きができるようにしたと
上記の記事には書いてあったので。

 

Instagramの「ショップナウ(Shop Now)」
のように、

 

ブログ記事にある商品をタップすれば、
値段が表示され、そのまま購入ページに
遷移できるようにしたら、
さらに良いのではとも。

 

PARCO各店のInstagram公式ページも
いくつか見てみたのですが、
「ショップナウ(Shop Now)」は利用
していないようでした。

 

「オンラインストア」と、「ショップニュース」
を分けて、ブログ記事からそのまま
購入できないようにしているのには、
何かしらの理由があるのかもしれませんね。

 

たとえば、来店を促進するために
という想像ができます。

 

ブログをチェックして、来店してもらう
導線ができてから、

 

アプリのユーザーと非ユーザーでは
LTV(Life Time Value=顧客生涯価値)の差が
大きく開いたそうです。

 

ブログを中心にしても、
WEBサイトやアプリだけに頼らず、

 

お客様が使っているSNSの中でも
接点を持っていく。

 

こうして考えると、SNSの活用方針も
明確になります。

 

ブログを書くことで来店や購入に
つながれば、スタッフのモチベーションも
上がり、

 

リアルもWEBも同等に接客であると
いう考え方になる。

 

このブログもそうですが、
現在は、ブログで情報発信ができる
という大きな武器があります。

 

コミュニケーションの基本は言葉です。

 

接客を真ん中に置いたPARCOの取り組み。

 

これからも注目したいと思います。