2014.4.22 ozawa

「コート90kg」「コート110kg」?これで完璧、印刷用紙の厚さ!

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こんにちは。ヂヤンテイシステムサービス代表の小澤です。

 

印刷通販サイトの出現によって、「コート」や「マットコート」などの印刷用紙の名称に触れる機会が、一般の方でも増えてきました。

 

その印刷用紙の紙の厚さの表現として「コート90kg」「コート110kg」などと書かれていますが、これを見て、その印刷用紙がどれくらいの厚さなのかすぐに分かるのは、基本的に業界人だけだと思います。

 

そうすると、一般の方は印刷用紙の厚さをどう判断して印刷通販を利用しているのだろうか?そんな疑問が頭をよぎり、何か基準というか目安になるものがあると良いのではないかと思いました。

 

印刷通販サイトには、紙の厚さについて「おまかせ」なんてメニューもあったりしますが、ポスティングやDMをマーケティングに活用する企業にとっては、配布するチラシやDMの紙の厚さも重要な分析対象になるのではないでしょうか。

 

少し分りづらい、印刷用紙の紙の厚さの説明に今回はチャレンジしてみたいと思います。

 

印刷用紙の紙の厚さを翻訳

弊社でも、紙の厚さをお客様に電話等で説明する時に、どう説明すれば良いか迷うことがあります。たとえば「0.21mm」です。と伝えたって何だか分かりません。

 

「いついつのパンフレットで使った紙と同じです」など、過去に納品した印刷物を例にして説明するのが一番分かりやすいと思っています。

 

そこで、誰でも目に触れ、手で触れるものを目安にしてみるとこんな感じです。

 

コート紙の厚さの目安
コート73kg 新聞紙の厚さくらい
コート90kg コピー用紙の厚さくらい
コート110kg 一万円札の厚さくらい
コート135kg 週刊誌の表紙の厚さくらい

 

これはあくまでもコート紙という、新聞折込やポスティングチラシ等でよく使われる、表面がツルツルした印刷用紙の場合です。

 

上質紙では70kgの紙でもコピー用紙より厚くなります。さらにもう1種類よく使用される印刷用紙にマットコートというものがありますが、90kgや110kgなどたとえ数字が同じだとしても、マットコートもコートに比べると厚いことが分かります。

 

それではどうして、90kgや110kgなどの表記が同じでも、紙の種類によって厚さの違いがあるでしょうか?実は「kg」という重さの単位を使っている理由が、そこにあるのです。

 

90kgとか110kgは、重さ?

印刷の仕事を1年でもやってくると、紙を触っただけで、これは90kg、こっちは110kgなどと、紙の微妙な厚さの違いが感覚的に分かるようになります。(まじめに仕事に取り組めば・・・)

 

110kgのことを「ヒャクトー(百十)」と呼んだり、62.5kgや76.5kgの紙をそれぞれ「ロクニーハン(62半)」「ナナロクハン(76半)」と呼べるようになると印刷のプロです。

 

今度、印刷物を発注する際、印刷業者にこの名称で紙を指定してみてください。お客様から「ヒャクトーでお願い」なんて言われたら、印刷業者はこのお客様は「なかなか手強いぞ」と感じることでしょう。

 

上記の表には62.5kgと76.5kgの紙の厚さは記されていませんが、どうして厚さの単位として、「kg」が使えるのでしょうか?

 

それは、紙一枚の厚さを「0.09mm」とか「90ミクロン」などと表現しても分かりづらい。それが理由だと私は思います。また「kg」という重さの単位を使うメリットがあるからなのだと思います。

 

この「kg」とは何を指しているのかといえば、一定の寸法の印刷用紙を1,000枚重ねた時の重さを指します。どんなに薄い紙でも1,000枚も重ねれば、73kgとか90kgとかになってしまうということです。束になった紙って重いですよね。

 

そのため、数字が大きくなれば、1枚の紙の厚さも厚いということで、数字を見て紙の厚さを判断できるということになります。180kgともなれば、官製はがきで使うような紙になります。

 

また、90kgとか110kgなどの同じ単位の紙でも、上質紙やマットコートなどで、紙の種類が違えば紙の密度が違います。密度が低い紙の方が体積は大きくなりますので厚さがあるということになります。

 

ちなみに、一定の寸法の印刷用紙1,000枚のことを「1連(れん)」といいます。この1連の用紙の重さのことを「連量」といい、連量が紙の厚さを表す単位になっていることになります。

 

一定の寸法の印刷用紙とは

先ほど、紙の厚さの単位は、「一定の寸法」の印刷用紙を1,000枚重ねた時の重さで表していると書きましたが、一定の寸法とはどのくらいだと思いますか?

 

オフィスにあるA4サイズのコピー用紙。1梱包は500枚。2梱包で1,000枚。そのくらいなら持つことはできますよね。紙が束になると重いといっても、90kgもの重さはありません。ということは、「一定の寸法」はもっと大きなサイズであることが分かります。

 

実は788mm×1091mmの紙を基準にしています。長辺が1メートル以上もある紙なので結構大きな紙です。模造紙のような大きな紙と言うと分かりやすいかもしれませんね。

 

そんな大きな紙が1,000枚積み上がると73kgとか90kgになることになります。この寸法の紙のことを我々は四六(シロク)判(788mm×1091mm)と呼んでいます。

 

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その四六判の紙を1,000枚重ねた重さが90kgであるのか110kgであるのかで、四六判の紙一枚の厚さも表現しているということになります。

 

そのため、最初に紹介させていただいた表の中の紙を正確に表現すると、四六判90kgであり、四六判110kgとなり、全て四六判という紙を基準にした表現だということになります。

 

四六判とB列、菊判とA列の関係

ここから、菊(きく)判という寸法の印刷用紙を説明しないと、印刷用紙の説明としては不十分となってしまいます。その理解のためにも、身近なA4やB5サイズの紙のことをまず考えてみましょう。

 

A4やA3など、「A」がつく紙の基本は、A0(エーゼロ)判と呼ばれる841mm×1189mmのサイズの紙です。これまた大きな紙ですね。

 

A0(エーゼロ)判を長辺で半分にすると、A1(エーイチ)サイズ、それをまた長辺で半分にするとA2(エーニ)サイズ、そうやって、A3→A4というサイズになります。

 

●A列の紙サイズ
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B5やB4など、「B」がつく紙の基本は、B0(ビーゼロ)判と呼ばれる1030mm×1456mmのサイズの紙です。更に大きな紙ですよね。基本となる紙が「A」よりも「B」の方が大きいため、A4とB4のコピー用紙を比べてみればB4の方が大きいことも納得できると思います。

 

●B列の紙サイズ
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少し脱線すると、A判は世界各国で使われている規格ですが、B判は日本独自の規格です。外国にはB5とかB4サイズなどの規格はないということになります。

 

基本となる大きな紙を想像していただきたいのですが、よく耳にする「A」がつく紙、「B」がつく紙とは別に、先ほどの「四六判」という紙があるとお考えください。

 

それにもう1つ追加していただいたいのが、菊判(636mm×939mm)という種類の紙です。「A」がつく紙、「B」がつく紙とは別に、「四六判」と「菊判」という紙があることになります。

 

大きさ順に並べるとこうなります。

B0(ビーゼロ)判 1030mm×1456mm
A0(エーゼロ)判 841mm×1189mm
四六(シロク)判 788mm×1091mm
菊(キク)判 636mm×939mm

 

「A」がつく紙、「B」がつく紙をそれぞれ長辺で半分にした「A1」と「B1」サイズにして紙の大きさ順に並べ直してみるとこうなります。

四六(シロク)判 788mm×1091mm
B1(ビーイチ)判 728mm×1030mm
菊(キク)判 636mm×939mm
A1(エーイチ)判 594mm×841mm

 

四六判とB1サイズが近づいてきました。よく見ると菊判とA1サイズも近寄ってきたことが分かります。

 

実は、B5の冊子や、B4のチラシを印刷する時は四六判の印刷用紙を、A4のパンフレットや、A2のポスターを印刷する時は、菊判の印刷用紙を使用しています。

 

ということは基本的に、仕上がりのサイズがB列のものは四六判。仕上がりのサイズがA列のものは菊判と、印刷用紙を使い分けているということです。

 

印刷機にかけるときは、仕上がりの絵柄の周りに「トンボ」や「塗り足し」が必要となるため、仮にA4サイズの印刷物を作る時も、A4サイズよりも大きな紙を使用することになります。
「トンボ」や「塗り足し」については、コチラを参照。
▲『Illustrator版 完全データへの道 vol.1 トンボ・塗り足し』

 

そのための紙が、四六判や菊判という紙であり、普段目にするA4やB5などのA列・B列の紙とは別の規格の紙を使っています。日本ではJIS(日本工業規格)により紙のサイズが定められています。

 

「A」がつく紙=A列、「B」がつく紙=B列は、「紙加工の仕上がり寸法」(JIS P0138)であり、四六判と菊判は、紙加工をするための「原紙寸法」(JIS P0202) ということになります。

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四六判と菊判の関係

ここで復習ですが、四六判などの原紙1,000枚のことを1連と呼び、その1連の紙の重量である連量の単位をkgで表示し、紙の厚さを知るための目安にしています。

 

そして、B5やB4などのB列仕上がりの印刷物は四六判の印刷用紙、A4やA3などのA列仕上がりの印刷物は菊判の印刷用紙を基本的に使うと説明いたしました。

 

寸法を比較させていただいたように、原紙としての四六判と菊判では四六判の方が大きなサイズです。そのため、四六判1,000枚=1連が110kgであれば、菊判はもっと軽いはずなので、連量の数字が小さくなり76.5kgです。四六判110kgの紙は、菊判に換算すると76.5kgの紙ということになります。

 

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我々は、仕上がりがA4やA3サイズの印刷の場合、110kgと言われたら菊判76.5kg、135kgと言われたら菊判93.5kgの紙を実際は使用しています。以下が、四六判と菊判の関係です。

 

●コート紙の場合の斤量換算

四六(シロク)判 菊判
73kg → 50.5kg
90kg → 62.5kg
110kg → 76.5kg
135kg → 93.5kg

 

大は小を兼ねるため、全て四六判の紙を使っても印刷はできるのですが、仕上がりがA列の印刷物は菊判の印刷用紙を使った方が、無駄になる紙が少なく、用紙代も安くできるため使い分けます。

 

印刷通販サイトなどでは、A4のチラシ印刷でも90kgや110kgと本来ならB列仕上がりの印刷物に使う四六判の連量が記載されています。それは、紙の厚さは同じなので、実際は菊判62.5kgや76.5kgを使うにしても、90kgや110kgと書いた方が分りやすいからです。基準として四六判の連量を使っているということになります。

 

話が複雑になってしまうので、この記事では簡単に触れるだけにしますが、実は、四六判と菊判の他にも「B列本判」と「A列本判」という原紙のサイズがあります。

 

先ほどまで紹介していた、コピー用紙でおなじみのA列、B列の紙はあくまでも仕上がり寸法なので、更に違う「B列本判」「A列本判」という規格の原紙が存在するとお考えください。

 

ということで、四六判コート110Kgの厚さの紙だとこれだけの種類があります。

 

四六判 B判 菊判 A判
110kg → 106kg → 76.5kg → 70.5kg

 

これは全て同じ紙の厚さであり、仕上げる印刷物と、印刷と加工の都合によって最も効率が良い紙を選んで使うことになります。

 

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同じ厚さの紙なのに、こんなに数字が違うと複雑ですよね。そのため、業界では「四六判ベース」で紙の厚さを表現する習慣があります。

 

A4仕上がりの印刷物で90kgの紙と言われても、見積をする時も、実際に印刷する時も、仕上がりはA4の印刷物なので、自ずと菊判76.5kgかA判70.5kgのどちらかを選択することになります。

 

ということで印刷通販などでは、印刷用紙の紙の厚さを「四六判ベース」で、または「四六判に統一」して表現することで、紙の厚さを分かりやすく表現していることになります。90とか110の方が、切りが良く分りやすいですよね。

 

最後に

印刷用紙の厚さのことを説明するためには、これだけは不十分です。しかし、一般企業で印刷物発注ご担当社の方であれば、この基本と目安を理解していれば充分なのではないでしょうか。

 

簡単にまとめると、A4やB5などよく目にする仕上がりサイズの紙の規格とは別の印刷用紙の規格があること。それが1,000枚積み上がった重さが紙の厚さの単位として使われ、四六判という原紙の重さが代表で使われているということです。

 

印刷通販に発注する場合は、だいたいここまで理解できれば良いのですが、広報ご担当の方は、印刷会社とのお付き合いがあると思いますので、四六判とは別の菊判の説明もいたしました。

 

1枚の紙は軽い。しかし紙は束になるとやたら重くなります。印刷の仕事は紙の束を扱う仕事であって、重い紙を移動させる仕事だとも言えるのです。

 

印刷業界は歴史が長く、知恵のかたまりとも言える諸先輩方の工夫の産物で成り立っています。印刷業界に入った者は紙の計算の勉強をすることで、そんな実務の知恵までも勉強ができます。

 

とても奥が深くおもしろいのが印刷の知識。また続きを書かせていただきます。

 

 

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