2014.6.19 ozawa

夏の販促ツールの定番、柄がついたオリジナルうちわが出来るまで

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こんにちは。クーラーの冷房が苦手なヂヤンテイシステムサービスの小澤です。

 

イベント会場などでうちわをもらったことはありますか?その販促ツールとしてのうちわを、弊社は毎年のように作ってきました。時代が変わっても夏にうちわは定番アイテム。特にやや小さいうちわが登場してからは、柄がついたうちわの人気が再燃しているようです。

 

配布後の保存率も高い、販促用の柄のついたオリジナルうちわが出来るまで全工程を紹介します。少し長くなりますが、この記事で販促用うちわの制作全体が分ります。

 

柄がないウチワ

柄がついたうちわと書きましたが、柄がなくてもうちわと呼ぶものがありますね。紙うちわ、丸うちわ、エコうちわなどの名称になっています。

 

柄がなく、丸くて下に指を通すための穴がある簡易的なうちわ。柄を取り付ける加工が不要なことから、印刷通販サイトでは、こちらの簡易的なうちわを宣伝しているケースを見かけます。

 

しかし、うちわは柄があるからからこそ、てこの原理が充分に活かせるのであって、小さなエネルギーで涼を取ることができるという意味では、柄があるうちわの方がエコロジーと言えます。

 

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お客様と打ち合わせでよく話をしたのは、柄がついたうちわを作れば、夏の間は保存してもらえる。お金をだしてうちわを購入することはないが、もらえるなら使う。紙加工だけのうちわは、紙だけなので捨てられやすい。

 

そんな理由から、柄のついたうちわをそのままDMとして送ったこともあります。袋に入れて送るよりもインパクトが強い、絶対に見てもらえる、すぐに捨てられない。お客様とそんな話をしながら、DM用のちちわを何度も作りました。

 

郵便で送っていた頃は、うちわのデザインの中に料金別納マークを入れました。メール便になってからは、メール便のシールを貼るスペースをしっかりと取って印刷したことになります。全ては「郵便受けにうちわが届いたら驚く!」ことを期待して。

 

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うちわのサイズを決める

それでは早速、オリジナルうちわを作ってみましょう。販促用なので、リーズナブルで代表的な3つのサイズを紹介します。うちわの骨の材質については後述しますが、ここで扱うのはポリうちわのサイズです。

 

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●Gタイプ(レギュラー)

販促うちわの基本中の基本サイズ。うちわといえばこのサイズというくらいポピュラーなサイズのうちわです。

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●ジュニア

レギュラーサイズよりやや小さいことで人気があります。A4サイズのパンフレットやチラシと一緒に封入して送付することができるのがメリットです。

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●ミドル

実用性があるうちわの中では最も小さく、女性のバッグにも入れやすいサイズです。

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サイズの名称からすると、ジュニアとミドルの順番が逆のような感じがするのですが、ミドルサイズはジュニアサイズよりも後にできたサイズのため、このような名称になってしまったようです。

 

うちわの骨は日本でも限られた骨メーカーが作っているため、サイズの名称も共通のものが多く、上記のレギュラー(Gタイプ)ジュニアミドルか、レギュラーコンパクトミドルというものがほんとんどではないでしょうか。

 

うちわのDTP制作

サイズを選択したら、いよいよ制作です。制作アプリケーションはIllustratorが最も便利です。うちわのサイズの名称が同じでもR部分の形状が若干違っていたりするものがありますので、依頼先からうちわ制作用のテンプレートやフォーマットデータを取り寄せ制作することをお薦めいたします。

 

うちわ制作の注意点は3つです。

1.仕上がり罫線の中にデザイン

仕上がり罫線の中にデザインすることで、うちわが出来上がった時のデザインを確認できます。

2.切れてはいけない情報は、内側の罫線の中に納める。

仕上がり罫線で型抜きをする際に、ズレがでても絶対に文字などが切れないように、内側の罫線の中に切れてはいけない情報を納めます。

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3.最終データでは、背景デザインをトンボのある長方形のラインまで入れる。

一般の印刷でいえば、塗り足しのスペースを作るこにとなります。塗り足しについてはこのブログの以前の記事をご参照ください。
▲Illustrator版 完全データへの道 vol.1 トンボ・塗り足し

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うちわは表裏があるので、両面のデザインをしましょう。うちわの印刷の項目でも説明しますが、うちわの場合両面といっても一般印刷の両面印刷とは違い、うちわの骨両面に貼るための印刷物がそれぞれ必要なので片面印刷となります。

 

うちわをもらう立場としては、できるだけうるさい情報がないものが良いです。伝達したい情報をうちわに網羅する場合でも、表面に情報を集めて、裏面はロゴマークだけにするなどして工夫しましょう。

 

うちわの販促利用

街角で配布される店名入りのティッシュペーパーなどのように販促用の無償配布物のことをギブアウエイ(giveaway)と呼びます。もう少し商品価値が高くなるとノベルティーと呼んだりします。どちらも同じような意味合いで使われることもあるのですが、配布する、撒くことが多いことから、販促用のうちわはギブアウエイとしての用途が多いと思います。

 

そいう意味ではチラシと同じです。街角で渡されるティッシュだってチラシがついています。うちわはプラスチックがついているので「捨てられにくいチラシである」。弊社の協力企業の社長さんは、販促うちわのメリットをそう説明してくれました。

 

うちわに企業のロゴタイプや売出し中の製品やサービスの情報を掲載しましょう。うちわは持って歩いてもらえるので、動く宣伝グッズになります。使ってもらううちに、企業の存在、サービスの存在を身近に感じてもらうことになります。

 

とはいえ、当社が依頼され作ってきたうちわは、ロゴタイプや製品・サービス名を掲載するだけのものはあまりなく、情報を伝達する目的で作るものが多かったです。うちわは受取率が高いので情報を広めるため、優れたチラシのように、アクションにつなげるために利用したいものです。

 

企業の存在、サービスの存在を身近に感じてもらう、それ以上の効果を目的とする場合、どんな活用方法があるのか考えてみます。

・WEBサイトへの導入

WEBの中だけでは、自社ホームページや自社SNSの存在を広めるには限界があります。ターゲットにうちわを配布できる機会があるのであれば、QRコードを使って、うちわから自社WEBに呼び込みましょう。

 

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・イベント案内

イベントの告知にはうってつけ。うちわ持参の方にサービスやプレゼントをすれば、うちわの保存率も高まります。
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・クーポン券や割引券

うちわのデザインの中に、クーポン券や割引券を入れておき、うちわ持参で来店・入場される方を優遇するというのいかがでしょうか?
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実はこの記事を書くために、香川県丸亀市にある協力会社まで行ってきました。実際にうちわの加工工場で作られているうちわは、他にもこんな使われ方をしていました。

 

●キャンペーン用
●来店・購入記念品
●アイドルやタレントなどの販売用
●店頭のPOP用
●盆踊りなどの衣装・演出用
●CM・TVなど撮影用
●お子様の手作り工作キット用
●スポーツ観戦応援グッズ
●学園祭・スポーツ祭典用
●デモや集会など社会運動用 他

 

サッカーのワールドカップが始まり、日本各地のパブリックビューイング会場が映し出されます。その会場でうちわを手にして応援している方が多かったことが印象的でした。人が集まるところは熱気であふれ、モバイルクーラーであるうちわが重宝します。

 

うちわの骨と柄について

プラスチックがついているので捨てられにくいうちわ。実は一般ゴミとしてだすことができます。プラスチックは合成樹脂の中でも、熱を加えると溶けて様々な形に成形できる熱可塑性樹脂というものの総称です。その中でも販促用うちわの骨から柄の一体物は、ポリプロピレン(PP)という樹脂からできています。ポリうちわと呼んでいる理由がここにあります。

 

うちわの骨と柄に使用するポリプロピレンは燃やしても水と炭酸ガスになるだけです。塩化水素などの有害物は出さないため、一般ゴミ、燃えるゴミとして出すことができます。お住まいのあるの役所でゴミの分別情報が提供されていると思いますが、一度確認してみてください。

 

ポリプロピレンのうちわの柄の色は白が一般的ですが、その他に全部で11種類の中からうちわの柄の色を選ぶことができます。色が選べるうちわのサイズは限定(Gタイプ、ジュニアのみなど)であり、扱っている加工会社もそれぞれのようなので、依頼先に確認してみるのが確実です。

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この記事でポリうちわはそのまま一般ゴミとして捨てることができると書いても、一般的なイメージは捨てにくいままだと思います。むしろうちわを販促に活用する企業のイメージダウンにつながるのではと心配される方もいるかもしれません。

 

そんなこともあってか、ポリプロピレンを再利用したエコマークを入れることができるうちわの依頼が多いようです。価格が変わらないことも人気の理由です。材料を再利用して作っているため若干白色度が落ちますが、言われてみないと分からない程度です。

 

●再生PP(ポリプロピレン)
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エコマーク付きの再生PPうちわは、弊社の協力会社が取り扱っている骨の色は白の他にも黒があります。

 

エコという意味では、他にもダイオキシンの生成抑制につながる環境対応のうちわの骨があります。変わったところだと、紫外線があたると柄と骨の色が赤紫色に変わるうちわ、暗い場所に持っていくと光るうちわもあります。光るうちわはコンサート会場などではうってつけですね。

 

うちわの印刷

うちわの柄が決まり、作る本数が決まれば印刷です。オリジナルのうちわを制作する場合の最低ロットは100本。今はオンデマンド印刷があるため、小ロット対応のうちわ加工サービスもあるかもしれませんね。

 

Point1.うちわ印刷用紙

うちわで使う紙はコート四六版90Kです。サイズ的には菊判でできますので、菊判でいえば62.5Kということになります。印刷用紙の紙の厚さについては、以前記事にしましたので、ご参照ください。
▲「コート90Kg」「コート110Kg」?これで完璧、印刷用紙の厚さ!

 

Point2.片面印刷

印刷する時は、表面と裏面を面付けして一緒に印刷します。うちわの骨に貼るため、表面用も裏面用も裏は白です。ということで、うちわの場合は片面カラー(4色)の印刷費で良いことになります。うちわが比較的リーズナブルなのはココに秘密があるといって良いかもしれません。

 

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Point3.ニスを引く

うちわの印刷で忘れてならないのはニスを引くことです。骨に印刷用紙を貼るため表面に凹凸ができます。運送時などにスレてしまうことでうちわの汚れがついてしまうので、表面にニス(耐摩擦性のもの)を引いてスレ防止対策をします。

 

Point4.印刷用紙の紙の目は柄の方向に

印刷用紙には縦目と横目の2種類の目があるのですが、うちわ印刷の時の目の取り方は、うちわの柄の方向になるようにしてください。現場の方に聞いたところ、目が違うことで貼れないということはないが、貼りにくいのだそうです。

 

加工機でうちのわの骨に印刷物を貼る時、逆目だとズレがでやすく、うちわの骨にきれいに貼れないものが出やすい。加工の時に暴れてしまうということで。結果として逆目にするとロスが出やすく、うちわが反ってしまうことがあるということでした。

 

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この場合は、菊四版に表裏面を面付けしているので、柄の方向に紙の目を揃えると縦目の紙を使うことになります。ミドルやジュニアサイズだと、絵柄を90度回転させて面付けができるため横目の紙を使うことができます。

 

柄のついたうちわの加工

ここまで説明させていただいたうちわの制作工程の中で、うちわの印刷までは全て弊社でできますが、そこから先、うちわの加工は協力会社に依頼しています。

 

うちわといえば香川県丸亀市ということをご存知でしょうか?うちわの生産量の全国シェア90%を占めるうちわの産地です。弊社のうちわ加工の依頼先も香川県丸亀市の会社。インターネットもなかった時代からのお付き合いです。ということで当社のうちわは「丸亀ブランド」製品ということになります。

 

印刷したうちわは、トンボで断裁して加工会社に送ります。それを仕上げサイズに型抜きをします。トンボのサイズでしっかり断裁してあれば、仕上がりのデザインを見るまでもなく抜いてしまいます。尚更、制作する時はテンプレートを使って作るのがベストであると思いました。

 

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型抜きした印刷物は、うちわの骨と一緒にうちわ専用の貼加工機にセットします。セットさえすれば骨に糊をつけ、上下をプレスするように印刷物両面を骨に貼りつけ、糊を乾燥させるところまでワンストップです。

 

撮影はできたのですがこの機械はメーカーとの関係でWEB上に掲載できません。お見せできないのが残念です。貼り加工機の最後の工程が乾燥。ベルトコンベアで運ばれたうちわが乾燥ボックスに入っていき、こんな感じで出来上がってきます。

 

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香川県丸亀市はうちわの産地ですが、販促用のうちわの他にも昔ながらの竹を使って手作りするうちわもあります。民芸品としての高級うちわを作る職人さんなども当然いるということです。しかしながら、弊社の協力会社のように販促用のうちわの機械を揃えている会社は、意外でしたが全国シェア90%の丸亀にもそんなにないようなのです。

 

うちわ加工の最盛期は7月。5月末から6月中旬くらいまでに一山あって、6月末くらいからが工場の本番のようです。この頃に依頼する場合は、加工を依頼してから納品までに2週間はかかると覚悟する必要があります。機械をフル稼働してもキャパがある上、請け負うことができる会社も限られるのですから。

 

最後に

うちわが特産品となっている丸亀市としても、振り返れば、クーラーの普及に相反してうちわの需要は低下し、次第に販促用のうちわの生産に移行していったという歴史があります。

 

逆に言えば、家庭やオフィスにクーラーが当たり前となっても、うちわを使う人はいるということです。お客様ともよく話ましたが、「うちわは自ら購入しないが、もらうと嬉しい」アイテムなのです。夏が近づき、販促用にうちわという案がでるだけで打ち合わせは盛り上がります。それだけ日本人の心にうちわは夏の風物詩として、深く浸透しているのだと思います。

 

物質的な豊かさから、心の豊かさへ、成熟期の日本人の価値観が移行していると言われています。若い人が浴衣を着だしたり、レトロなものを好んだり、伝統的な日本の良さは、若い人には偏見なく受け入れられているように見えます。夏の昼下がりに、うちわで涼を取ることも、どこか贅沢な時間というような価値観もこれから育つかもしれません。

 

時代遅れのようなものに新たな価値を。自然の風で涼しむうちわを、販促に活かしませんか?

 

❏関連サービス
▲ヂヤンテイシステムサービス「浅草橋うちわデザイン部」