2014.5.7 yamada

Illustrator版 完全データへの道 vol.3 アウトライン

yamada.blog_3

こんにちは。プレプレス部の山田です。
前回は『仕上り罫』についての記事を投稿しました。
今回は『アウトライン』についてです。

 

デザインが終わりデータ作成も終わり、
「さぁ入稿するぞ!」
と、意気込んで切るそこのあなた。
アウトラインはとりましたか?

 

アウトラインがとられていないと思わぬエラーに繋がる事があります。
入稿前にしっかり確認をしましょう。

 

3.アウトラインをとろう

アウトランとは

テキストデータをアウトライン化することで文字情報をなくし図形化(パスのオブジェクト化)する事を言います。
アウトライン化させたいテキストデータを選択し、「書式」→「アウトラインを作成」(shift + command + O)で作成できます。

アウトライン1_小

図形化することでテキストの編集は出来なくなりますが、アウトラインをとらずテキストのままだと、文字化けが起きてしまう事があります。

文字化けとは

作成側と受け取り側で持っているフォントが違うためにテキストデータのフォントが意図していたものと違うフォントに変わってしまうこと。
フォントの形状が変わる他に、文字詰めが変わったり、記号が消えてしまったりすることもあります。

 

アウトライン2_小

 

文字化けの原因

文字化けの原因は様々ですが、主な原因はフォントの有無による所が多いです。
データを作成したパソコンに入っていたフォントが出力側のパソコンにも入っているとは限りません。
使用ソフトの違いや、バージョンの違いなどでも文字化けが起こる事があります。

 

またWindowsで作成したデータをMacで開いた場合、同じ名前のフォントが入っていたとしても、WindowsとMacではフォントの形式が異なっているので形が変わってしまう事があります。
運良く文字が変化しなくても文字詰めなどのデザインが狂ってしまう可能性も。

 

データを作成したパソコンと受け取った側のパソコンが同じ物でない限り、フォントが文字化けする要因は常に付きまとってきます。

 

テキストのアウトライン化

アウトラインをとる時は、使用しているテキスト全てを選択しましょう。
テキストが一つでも残っているとエラーの元になります。
テキストを全て選択するために、アウトライン前には以下の作業が必要です。

 

・レイヤーのロックを外す。
・ロックしているオブジェクトは全てロック解除(opttion + command + 2)
・隠しているオブジェクトは全て表示(option + command + 3)

 

レイヤーやオブジェクトにロックがかかっていると選択出来なくなるのでアウトラインはとれません。
隠れているオブジェクトも同様です。

 

checkアウトラインをとる前の注意
フォントをアウトライン化してしまうと、それ以降テキストの編集が出来なくなってしまいます。
修正が発生した時のために、アウトライン前とアウトライン後のデータとを分けて保存しておきましょう。

 

テキストの有無は「書式」→「フォント検索」で確認できます。
ドキュメントのフォントリストにフォントが表示されていなければ全てアウトライン化されたという事になります。

アウトライン3_小

 

checkアウトライン後はもう一度確認を
テキストを全てアウトライン化したはずなのにデータにフォントが残っている……なんて事はありませんか?
そんな時は以下の点を確認しましょう。

 

(1)孤立点が残っていないか
テキストを打とうとして何も打たずに選択を解除した場合や、テキストポイントを選択せず、テキストの中身消した場合など「孤立点」と呼ばれるものが残ってしまいます。
見た目はただの点でしかないのですが、フォントの情報を持って存在している為、テキストはないけれどもフォントは使用している状態になります。

 

孤立点は「選択」→「オブジェクト」→「余分なポイント」で取り除く事が出来ます。
(ver.8では「編集」→「選択」→「孤立点」)

 

ただし、選択漏れの可能性もあるので消した後、削除出来ているかしっかり確認しましょう。
残ってしまっている場合はドキュメントのフォントリストでそのフォントを選択すれば孤立点の場所にジャンプしてくれます。

 

補足ですが、孤立点はフォントの情報が残っているだけでデザインに直接影響があるものではありません。
しかし、これが残っている事で、出力の前工程でエラーが出て読み込んでくれなかったり、弾かれたりしてしまいます。
また、オブジェクトとしても認識されるので印刷サイズからはみ出していると、データに余分な余白が出来てしまいます。
この状態も印刷では好ましくないので、孤立点は全て消去しましょう。

 

(2)グラフツールを使っているか
グラフツールは少しくせもので、数値の表示にフォントが使われているのですが、その使用フォントがフォント検索で引っかかりません。
アウトラインをとろうとしても単純に選択しただけではアウトライン化されず、フォントがそのまま残ってしまいます。
アウトライン4_小

 

フォントリストにも載らない、アウトライン化も出来ない。
なのにデータ上はフォントを使用しているので、表示されていなくてもフォントが含まれたデータとして処理されます。
エラーメッセージが表示されるのはもちろん、このフォントも文字化けします。

 

そんなときはグラフを選んで「グループの解除(shift + command + G)」をしてください。
グループを解除してしまうことでグラフの変更はできなくなりますが(グループの解除を選ぶとメッセージボックスが出てきます)使用されているフォントはフォントリストに表示されるようになります。
また、この状態だとアウトライン化も出来ます。

 

アウトライン5_小

 

(3)パターンにフォントは含まれていないか
テキストデータのままでもパターンに登録することができます。
しかし、これもグラフツールと同じで、パターンに登録されてしまったテキストは、テキストデータのままにも関わらずフォント検索に表示されません。

 

テキストデータのままだとデザインを変更するのに便利かもしれませんが、このような弊害が現れてしまうので、文字をパターンにする場合は必ずアウトラインを取ってから登録するようにしましょう。

 

まとめ

・入稿前にはフォントをアウトライン化させる。
→この時、アウトライン前のデータを別に保存しておく

・アウトラインをとるときは全てのフォントのロックを解除させる。
→レイヤーのロック、オブジェクトのロック、余分なフォントが隠れていないか。全て確認。

・アウトライン化した後、フォント検索でアウトライン漏れがないかチェック。
→孤立点の有無も確認

・グラフツール、パターンは使用していないか確認。
→使用している場合は個々にアウトラインをとっていく。
折角綺麗なデザインが出来上がったのにフォント一つで全てを台無しにしたくないですよね。
以上の点を気をつけて、安全かつ、綺麗なデータを入稿しましょう。

 

→次は「RGBとCMYK」です。

 

←前回「仕上り罫」