2019.4.7 ozawa

「噂の真相」元編集長、岡留安則さんが、今の時代に問いかけているものは?

 

 

印刷・WEB・ITで、
お客様の「伝えたい」をデザインする会社、
ヂヤンテイシステムサービスの小澤です。

 

一昨日となりますが、
NHKのニュース9を見ていて、
驚きました。

 

作家の筒井康隆さんが、いきなりあらわれ、
どこかしらの会場で、
「⚪️⚪️⚪️⚪️に献杯!」

 

「⚪️⚪️⚪️⚪️」の部分は、突然
だったので、聞き取れずにいたら、

 

その後、会場にいる田原総一朗さんに、
弘中焞一郎弁護士がでてきて、

 

そのあと、画面は会場に飾られていた
岡留安則さんの写真。

 

「別れを惜しんだのは、
ことし1月になくなった岡留安則さん」

 

というナレーション。

 

えー、岡留さん亡くなったの?

 

そう、心の中で叫んでしまいました。

 

ご存知ない方のために説明すると、
岡留安則さんは、月刊誌「噂の真相」
の元編集長です。

 

「噂の真相」は、
反権力、反権威を掲げて、

 

様々な業界の内幕を
スキャンダリズムを標榜し掲載していた、
気骨のある月刊誌でした。

 

一時は、月刊総合雑誌の発行部数で
『文藝春秋』に次ぐ規模があった
時期もあり、

 

マイナーなミニコミ誌でありながらも
光る存在でした。

 

毎月10日発売で、20代の頃、
毎号欠かさず購入し、
この「噂の真相」を読んでいました。

 

この雑誌と同じくミニコミ誌の「創」が、
私の20代の頃の社会の教科書でした。

 

10年間欠かさず読んだのですが、
これだけ長期にわたり、継続的に読んだ雑誌は、
「噂の真相」しかありません。

 

メジャーな出版社が出版する
広告費を主な収入源とする
マスコミ雑誌に対し、

 

独立系の広告に依存しない雑誌は、
ミニコミ誌という位置付けでした。

 

広告に依存しないため、
「タブーなき雑誌」を標榜していたのです。

 

広告に依存するということは、
少なくとも広告主である企業や業界の
批判記事を書くことはできません。

 

そのため、若い頃の自分は、
ミニコミ誌にこそ、真実があると感じ、
「噂の真相」と「創」を読んでいました。

 

今でいえば、ネットの存在に近いもの
だったのです。ミニコミ誌が。

 

そんなマスコミ業界の事情を教えて
くれたのが、岡留安則さんの
『雑誌を斬る』という本でした。

 

この本をきっかけに月刊誌「噂の真相」の
購入が始まりました。

 

しばらくすると、当時、盛んに読んでいた
作家、筒井康隆さんの連載が、

 

「笑犬樓よりの眺望」というコラムで
始まり、ますますはまっていった
ことになります。

 

岡留安則さんは、編集長なので、
それぞれの記事は、それぞれの
ライターが取材して書いています。

 

しかし、取り上げる内容や取材方針は、
編集長である岡留安則さんのものであり、
編集長の色が強くでていた月刊誌でした。

 

知り得た情報はすべて出すという
姿勢だったため、誤報もあり、

 

訴訟問題に発展することも幾度もあり、
ヒヤヒヤする雑誌でもありました。

 

知り得た情報をすべてだし、
市民に判断してもらうことが
もっとも健全なのだという姿勢の雑誌です。

 

若い頃の自分にとっては、
言論の自由、タブー無しの姿勢に
正義を感じたものです。

 

親しく付き合っている友人でも、
何か問題があれば取り上げたそうで、
タブー無しの姿勢を貫いていました。

 

対象にしていたのが、大手企業、業界、
政治家、法律家、芸能人、文壇、
マスコミなど、

 

権力を持っている人間だけを対象
としていました。

 

私が読み始めた頃は、知る人ぞ知る
マイナーな雑誌だったのですが、

 

岡留安則さんの一貫とした編集方針で
数々のスクープを世に送り出しいく
うちに知られる雑誌となっていき、

 

当時の権力者が戦々恐々とする
雑誌となっていきました。

 

10年間、読み飛ばしなく、最終ページの
岡留さんの編集後記まで読み続けた
のですが、

 

その間に、図書館に「噂の真相」が
置かれるようになり、驚きました。

 

それだけ市民権を得た雑誌になった
ことが嬉しくもあり、心配でも
あったのです。

 

一昨日、驚いたのは、岡留安則さんが
亡くなられたことです。

 

命日は1月31日で、2月2日にはニュースに
なっていたようで、不覚にもそのニュースを、
見落としていたので、

 

一昨日はじめて知ったことになります。

 

そのニュースを知ったのがNHKだった
ということも不思議な感覚でした。

 

NHKが岡留安則さんを取り上げた
ことに、時代が変わったと思いました。

 

NHKは「噂の真相」からすれば、
取材対象の権力でしたから。

 

そのNHKのこの間の番組では、
独自な存在感を発揮したこの雑誌が、

 

今の時代に問いかけているものは?
と報道していました。

 

スキャンダルの石つぶてを投げることで、
何か社会の変換を促す、

 

あるいは腐敗した権力を倒せると
本気で考えていた人であったという
コメントが印象に残りました。

 

これは、今でいえばSNSかなとも。

 

しかし、ネットがまた、言論封鎖の
力を持つようになったのが今であり、

 

核心に迫る情報を伝えることが難しく
なったことをNHKが伝えていました。

 

2004年に「噂の真相」は休刊となり、
沖縄に日本の問題の縮図があると、
岡留安則さんは沖縄に移住したのですが、

 

様々な問題が起こる度に、
「噂の真相」だったら、どんな記事に
なっていただろうかと、思うことが
よくありました。

 

岡留安則さんの本、『新宿よ』
『サングラスの中の女たち』も購入し
当時読んだのすが、

 

その中で岡留安則さんは、
反権力というよりも

 

「ヒューマンインタレスト」を
強調しています。

 

どんなに権威がある人でも、
人間である限り、愚かなところもあり、
間違いもある。

 

そんな人間という存在が愛おしいのだと、
それが雑誌を作る原点になっている
という話があったことを記憶しています、

 

NHKの番組は、先月末に行われた
岡留安則さんを偲ぶ会を紹介しつつ、
現在の報道のあり方について問うものでした。

 

10分ほど取り上げていたのも
驚きだったのですが、

 

「噂の真相」が投げ続けた、石のつぶてが、
やっと日本を動かすきっかけに
なったのだと感じました。

 

10年間「噂の真相」を読み続けて、
私は30歳でこの会社に入社しました。

 

それまでのように、「噂の真相」を購入
しても全部読むことができなくなり、

 

筒井康隆さんも断筆宣言をして、
連載がなくなってしまったことで、

 

次第に「噂の真相」を購入する習慣が
なくなっていき、
仕事にはまっていったことになります。

 

30歳の時に、
雑誌の仕事をしたかったのですが、
入れてもらうことができず、

 

現在の書類作りの仕事に就くことになり、
今に至ります。

 

仕事としては、制作の仕事ですが、
常に、自分の仕事を通して、
世の中のコミュニケーションに
貢献したいと考えています。

 

「噂の真相」の美学が、自分の中にも
流れているものと思っているのです。

 

岡留安則さんに献杯!