2013.11.27 ozawa

未来のエネルギー供給のために、新電力(PPS)を検討してみた

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こんにちは。ヂヤンテイシステムサービス代表の小澤です。

 

今年の9月に始まったばかりのこのGentieブログですが、予定していたものの、登場していなかったカテゴリーが1つだけあります。

 

それがこの記事のカテゴリー「ヂヤンテイCSR」です。説明するまでもなく、CSR(corporate social responsibility)とは企業の社会的責任のことを指します。

 

大きな企業ともなると、ホームページにCSRページを設け活動の報告をしている会社がほとんどです。弊社のような中小企業であっても企業は企業であり、社会の一員として、「社会そのもの」が永続的に発展していくために貢献する存在でありたいと思っています。

 

会社のホームページをメディア化し情報発信していく上で、CSRについて記事にすることは必須だと当初から感じていました。弊社の業務を通してできるCSRの基本的な活動は、CSRについての情報提供だと考えています。

 

第1回目の記事は、ずっと気になっていた「新電力(PPS)」についてです。

 

電力業界変化のうねり

今年の8月、日本製紙が2014年度から電力小売事業に参入するという新聞記事がありました。日本製紙といえば、日本第2位の製紙業会社です。

 

さらに同じ時期に、中部電力が三菱商事子会社の電力小売事業者「ダイヤモンドパワー」を買収し、首都圏での電力販売事業に乗り出すことを発表しました。

 

それを受けて、東京都は都の48施設の電力を、中部電力の傘下に入る新電力のダイヤモンドパワーから購入すると発表。

 

9月には関西電力も首都圏で電力販売を始めると発表。さらに11月、大阪ガスも首都圏での電力事業参入に意欲を示しているという記事がでたばかりです。

 

大手電力、大手ガスまでが営業区域を超えて本格的に越境販売するようで、電力業界のニュースがにぎやかです。

 

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中部電力のみならず、関西電力、大阪ガスまでも、電力の越境販売が可能なのは、新電力(特定規模電気事業者)の存在があるからです。

 

中部電力の例をとれば先述の「ダイヤモンドパワー」であり、関西電力、大阪ガスも関連の新電力(特定規模電気事業者)企業に担うかたちで参入することになります。

 

この辺の電力業界の動きを“戦国時代”に突入したと書いていた記事もありましたが、2016年の家庭向けを含む電力小売りの全面自由化を見据えた動きが始まっているようです。

 

城南信用金庫さんが示したもの

3.11東日本大震災の後、原発が停止し、電気料金を本格値上げした電力6社に対し、大口顧客の新電力への契約の切り替えが起きました。

 

計画停電があり、節電の呼びかけとともに、あらゆる電燈が消され間引かれ、震災前とはまったく違う街の風景を目の当たりにして、東日本の人々の意識の中に「電力不足」という言葉が深く刻まれていました。

 

そんな時期に、信用金庫大手の城南信用金庫さんが東電との契約を解除し、原発に頼らず自然エネルギーや民間の余剰電力を購入し販売している「エネット」(新電力・PPS)との契約に、全面的に切換えたというニュースが入ってきました。

 

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▲http://www.jsbank.co.jp/13/2/1/1-13-2-1-1.html

 

「新電力(PPS)」の存在を意識したのは、これがきっかけだったのですが、中小の工場やコンビニにさえ「新電力(PPS)」は供給できないと聞いたことがあり、弊社とは無縁の話だと考えていました。

 

調べてみると官公庁も「新電力(PPS)」を利用しています。霞ヶ関の各省に限定すると東京電力から電気を買っている役所は一つもありません。
ソース:『霞ヶ関は東電から電気を買わない』

 

立川市、国立市、多摩市、日野市、八王子市、世田谷区、大田区、江戸川区、杉並区、練馬区、新宿区など、自治体が管轄の公立小中学校や公共施設の電力を新電力へ切り替えたというニュースはひっきりなしに入ってきました。神奈川県に至っては県立学校の9割の施設が新電力のようです。

 

さらに横浜市は自治体として電力会社を設立し電力の小売事業に参入すると発表しました。既存の電力会社に全面的に依存するのではなく、災害時でも電力供給を途絶えにくくする「分散型の電源」に転換するのが目的とあります。

 

こうした動きを横目でみながら、弊社も何かできないかと感じていました。大口顧客ではありませんから、年間電気料金の大幅なコストダウンを望んでいるのではありません。

 

城南信用金庫さんのように、原発に頼らず自然エネルギーや民間の余剰電力を購入している先から、電力を購入することによって、エネルギー供給の新しい動きに小さな手を差し伸べたいと考えていました。

 

「新電力(PPS)」とは?

ご存知の方も多いかと思いますが、念のため、ここで新電力(PPS)について振り返ってみたいと思います。

 

1990年代の世界的な規制緩和の流れの中で、日本の高コスト構造、内外価格差の是正が課題となり、電力供給についても検討されました。つまり世界的にみて高かった日本の電気料金を見直すことになったのです。

 

以下のグラフの1990年を見てもらえれば、当時の状況が分かります。

電気料金国際比較

▲http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4105.html

 

この流れの中で、電気事業法改正となり、2000年から電気の小売が自由化され、東京電力や関西電力などの一般電気事業者以外の電力供給事業者の市場参入が認められました。

 

そんな事業者の1つを「特定規模電気事業者」といい、PPS(power producer and supplier)とも言われていたのですが、資源エネルギー庁が2012年4月から「新電力」という呼び名を使い始めたことで定着してきました。

 

「PPS」という言葉が分かりにくとも思えず、むしろとても印象に残る言葉なので、この記事ではあえて「新電力」と「PPS」という言葉を併記しています。

 

新電力とは、自ら発電したり自家発電した企業から買い取った電力を、大手電力会社10社の送電網を使って企業や自治体に電力を小売りする事業者のことです。

 

維持管理コストが低いため、大手電力会社より5~15%程度安く提供できにもかかわらず、なぜかそれほどは普及しなかったようです。

 

2011年3月の東日本大震災による東京電力福島第1原発事故以降、大手電力会社の電気料金の値上げが相次ぎ、新電力は注目され参入企業も一気に増えました。2013年11月時点で新電力の登録数は113社です。

 

新電力の数の推移 (600x323)

※経済産業省資源エネルギー庁「電力小売市場の自由化について」平成25年10月資料より

 

特定規模電気事業者(新電力・PPS)は、こちらで確認できます。

『特定規模電気事業者連絡先一覧』

 

相次ぐ電気料金値上がりを背景に、新電力に切り替える自治体や企業が増えています。弊社の小さなビルならたいしたことありませんが、大口顧客であれば、百万単位のコストダウンになるからです。

 

新電力(PPS)と契約するには

新電力(PPS)は今のところ一般家庭との契約はできませんので、家の電気料金を下げたいという希望を叶えることはできません。

 

家庭で唯一可能なのがマンション単位での契約です。マンションが新電力(PPS)と契約し、各世帯に電気を供給することを売りにしたマンション販売の記事を見たことがあります。

 

基本的に新電力(PPS)と契約できるのは、特別高圧または高圧(50kw以上)の契約をしているオフィスビルや工場、スーパーや学校などです。

 

弊社のビルも高圧電力の契約をしているのですが、東京電力の領収書を見る限り40kwの契約でした。そのため弊社は断念せざるを得ないのかと思っていました。

 

そんな折、弊社が電気保管で契約している協力会社が新電力(PPS)の登録をしていることを知り、話を聞いてみたところ、なんと弊社も新電力(PPS)に切り替え可能であることが判明しました。

 

それはもう1つ条件があったからです。弊社のビルは4階建てですが、1Fを工場にしているため高圧受電設備(キュービクル)を持っています。これがあると新電力(PPS)に切り替えができるということでした。

 

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ということで、新電力(PPS)に切り替えるための条件はこうなります。

 

1.50kW(500A)以上の電力契約をしている
2.高圧受電設備(キュービクル)を持っている

 

普通のオフィスビルでも、エレベーターがある4・5階以上のビルだと高圧受電設備(キュービクル)を持っていることが多く、新電力(PPS)に切り替えができます。一度調べてみることをお薦めいたします。

 

新電力(PPS)に切り替えるといっても、新たな設備が必要な訳ではなく契約を変えるだけです。これまでの電気利用状況の資料を渡し審査してもらい、申請書類を提出すると数ヵ月で切り替わります。

 

送電はあくまでも一般電気事業者のものを使用するので何も変わらず、電気料金が下がることになります。以前話題になった電話のマイラインの電力版と考えると分かりやすいかもしれません。

 

先ほどの特定規模電気事業者連絡先一覧から、どの新電力・PPS会社と契約するか決めることで、新電力(PPS)に切り替えができます。

 

電力自由化の動き

2013年度上期の販売電力量で新電力(PPS)のシェアが4%を超えたようです。100社を超えたといえ、新電力(PPS)の供給力は東京電力などの一般電気事業者に比べて小さく、供給電力の確保が課題となっています。

 

そういう意味でも、この記事の最初に書かせていただいた日本製紙などの参入や、横浜市の例として紹介したような地産地消の電力会社ともいえる地域PPSの動きが注目に値します。

 

つい最近のニュースではミサワホームが特定規模電気事業者の届け出を完了し、電力小売事業を開始するとありました。電力自由化が始まったのが2000年で、ここにきて電力自由化の動きが本格的になっているようです。

 

今国会(2013年秋)で改正電気事業法が成立し、戦後最大の改革という論評もでました。大手電力会社による地域独占体制を崩す「広域系統運用機関」の創設。2016年をめどにした電力小売りの全面自由化。2020年までの発送電分離の実現などが計画されているようです。

 

電力小売りの全面自由化ということは、一般家庭の電気も新電力などから供給を受けることができることになり、一般家庭も電気会社を選択することができる時代が来ることになります。

 

ドイツには1,000社も電力会社があって、各家庭で電力会社の内容を比較して電力会社を選べるようです。それはそれで問題があるようなのですが、電力会社を選べない日本と比べて、電力について考える機会が多い環境があることが良いことだと考えます。

 

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最後に

最近になって、北九州市のニュースがありました。九州電力による電気料金の値上げによって、市の電気代が年間5億円増える見通しになることから、電力調達を入札制にしたという内容です。

 

5億円電気代が増えるというのはものすごい話ですが、一般企業もある程度の規模ともなれば、電気料金の値上げによって、大きな影響を受けることとなり、ここで紹介した新電力(PPS)のことは周知のことと想像できます。

 

弊社が新電力(PPS)に切り替えた場合の試算をしてもらったのですが、年間にしても電気料金は若干下がるくらいでした。新電力(PPS)のホームページには、必ずしも電気料金が下がるものではないということも書かれています。

 

しかしながら弊社の場合、電気料金を安くするだけが目的ではなく、新電力(PPS)の活動、すなわち新たな電力供給活動を支える一助となりたいと考えています。

 

そして、もう1つここで情報発信することで、新電力(PPS)を検討するきっかけ作りができれば良いなと思っています。

 

社会を変えるには、一人ひとり、一社一社の決断と行動によってしかありませんので。