2014.7.8 yamada

Illustrator版 完全データへの道 vol.4 RGBとCMYK

yamadasan.blog_4

 

こんにちは。プリプレス部の山田です。
前回は「アウトライン」について記事を投稿しました。
今回は印刷の基礎であるRGBとCMYKの違いを解説していきたいと思います。

 

印刷データでRGBの原稿はNG。
CMYK原稿が鉄則です。

 

しかし、なぜRGBはダメでCMYKで作成しなければならないのでしょうか。

 

まずRGBとCMYKの基礎である
・RGBとCMYKの違い
RGBからCMYKに変換した時の注意
・RGBで作成してはいけない理由
1.カラーの変化
2.スミ文字の変化
3.透明効果の変化
を説明していきます。

 

RGBとCMYKの違い

●RGB(加法混色)
光の三原色(R=レッド、G=グリーン、B=ブルー)のこと。
色のついた光を重ねていった状態になります。
色が重なるほど光量が増し明るくなり、それぞれの色の重なる部分がハイライト(一番明るい部分)になります。

 

●CMYK(減法混色)
色の三原色(C=シアン、M=マゼンタ、Y=イエロー)にK(=ブラック)を追加したもの。
紙にインクを塗り重ねていった状態です。
インクを重ねるほど明度が下がり、色が黒に近づきます。
3色の重なる部分がブラックになるのですが、CMYの3色では純粋な黒色を表現するのは困難なので、綺麗な黒色を出すためにCMYの3色にKを加えてCMYKとなっています。

 

RGB-CMYK_小

 

印刷は紙にインクを塗り重ねていくので当然CMYKでの表現になります。
なので、印刷表現と同じCMYKモードで入稿することが前提になり、RGBで作ったデータも結局はCMYKに変換されてしまいます。

 

では、ここで一旦冒頭に戻ります。
RGBでデータを作成しても、CMYKに変換されてしまうのなら、なぜRGBで作成しなくてはいけないのでしょうか。

 

RGBで作成してはいけない理由1 -カラーの変化-

一番大きな問題になるのは『色』です。
RGBはCMYKよりも表現できる色域が広く、鮮やかな色合が表現できます。
クリアな蛍光色など、RGBでしか表現できない色をCMYKで表現することはできません。
CMYKに変換した時点で色がCMYKで表現できるより近い色に変換されるので、RGBで作った色よりも濁った色になってしまいます。

 

RGB-CMYK2_小
カラースペース_小

 

どうしてもRGBで作成した色味で印刷したいという場合は、CMYKに変更した後、色調が変わってしまった部分をできるかぎりRGBの色に近づけるよう、色調の調整を加えるか、特色を使用し、より近い色で印刷するしかありません。

 

check特色とは……
プロセスカラー(CMYKの4色)では再現できない色を表現するためのインク。
予め色が調合されているため、紫やミドリの様な、プロセスカラーだと2色以上使用している色を1色で刷る事が出来る。
また、金や銀などプロセスカラーにはない色や、蛍光色なども再現できる。

 

RGBで作成してはいけない理由2 -スミ文字の変化-

RGBデータをCMYKに変換すると、色が濁るだけでなく、一見変わりなさそうもないスミ文字も実は変換されています。

 

RGBの黒(R、G、B=0%)をCMYKに変換するとC・M・Y・Kの4色(約 C=93%、M=88%、Y=89%、K=80%)に分解され、やや茶色っぽい中途半端なグレーになってしまいます。
これをそのまま印刷すると、当然4色全てが重なった色になります。

 

印刷は「Vol.1 トンボ・塗り足し」で書いた通り、4枚の刷版を重ねて1色ずつ色を重ねていくので、この時どれだけトンボで見当を合わせてもインクの加減や紙の伸縮によって印刷のズレが起こります。すると、4色が重なって出来なスミ文字は輪郭がややボケた様な見え方になってしまいます。更に、色が合わせ辛くなるので、最初と最後の印刷で微妙に色が変わってしまったりする事も……

 

C、M、Yの不要な色を取り除いてもK=80%くらいに変換されるので、完全なスミではなく、グレーになってしまいます。

 

スミ文字_小

 

線が細い、文字が小さいものほどハッキリ見えて欲しいのに、ボケて滲んだ文字だと読み取りにくくなりますよね。
画面上だと変化している事がわからないくらい些細な変化ですが、印刷的にも、見た目もあまり良くありません。

 

もしRGBからCMYKに変換してしまった場合はスミの部分をK=100%に変更しましょう。
「選択」→「共通」から塗りと線の同一カラーを選ぶと、楽に色を変更することが出来ます。

 

RGBで作成してはいけない理由3 -透明効果の変化-

カラーの色意外にもIllustratorならではの違いがあります。
それは『透明効果』の見え方です。

 

色_効果見本

 

上のカラーとグレーのグラデーションオブジェクトを重ねて、グレーのグラデーションに透明効果を適用させてみます。
左がCMYK、右がRGBです。

 

RGB-CMY3_小

 

同じ透明効果を使っているのに、効果の現れ方が全く違いますよね。
これらはドキュメントのカラーモードをCMYKからRGBに変えるだけでパッと変わります。
(※長方形ツールから選べる「フレアツール」ですが、透明効果の「スクリーン」が使われているので、これも同様に見た目が変化します。)

 

RGBモードで作業していて、入稿前にCMYKに変更したらオブジェクトの見え方が変わってしまい作り変えなければならない!!
なんて事態も起こりかねません。

 

check対処として
CMYKモードで作り直す事が出来る。というのであれば作り直した方が後々の作業的にも印刷的にも良いのですが、RGBの見え方をCMYKに直すのは大変だし時間もない。どうしてもこのままで使いたい!という時はありますよね。

 

そんな時は、
RGBモードで透明効果を使用し作ったオブジェクトにラスタライズをかけて画像化「オブジェクト」→「ラスタライズ」してしまうか、
またはオブジェクトのみ書き出し「ファイル」→「書き出し」で画像にしてしまえばRGBの見え方を保ったままCMYKモードで使用する事が出来ます。

 

ただ、何度も言っているようにRGBからCMYKに変えるとカラーは濁ったものになってしまうので、色の補正をする事を考えたら書き出してPhotoshopなどで使用できる形にしてしまうのが良いかもしれません。

 

ラスタライズも書き出しも、一度画像化してしまうと、それ以降オブジェクトとしての変更は出来なくなってしまうので、もしもの時のために画像化する前のデータも残しておきましょう。

 

カラーの確認を徹底しよう

RGBで作成していて一番怖いのは、CMYKに変更した時の色の変化です。
色の修正を得意にしている人ならそうでもないかもしれませんが、不得手な人だと色を整えるのは大変ですよね。
「色が変わっても良いからRGBのまま印刷する。」
と決めている人は良いですが、RGBカラーは変化する、またはデータにRGBが含まれているとは知らず印刷に出し、
「作ったデータより色が濁っている!なんで?!」
となってしまったらショックですよね。

 

データの不備ならまだしも、カラーに関しては印刷・出力側ではどの色が正しいのか判断するのが難しいので、入稿されたデータのまま出力するしかありません。
そうなると折角印刷したのに刷り直し。という事態も免れません。

 

ちなみに、
「家のプリンターだったらRGBでも綺麗だったよ。」
という方もいらっしゃると思いますが、家庭用プリンターは写真などのRGB画像が綺麗に出力できるように、印刷とは違った独自のカラー変換機能が搭載されています。
インクもグレーやライトピンク、ライトシアンなどがあり、6色〜8色のものは珍しくありませんよね。
根本的にカラーの変換方法が違うので、家庭用プリンターと印刷で色味は変わってきます。

 

「CMYKモードで作成しているから大丈夫」
と思っている人、いませんか?
本当にそうでしょうか。
データに写真を使用している人は一度データを見直してみて下さい。
デジカメやスキャンから取得した画像はRGBカラーです。
なので、そのまま使用すると、IllustratorのカラーモードがCMYKでも、画像はRGBカラーを保持しているので、CMYKの中にRGBが混ざったデータが出来てしまいます。
(※埋め込み画像の場合はIllustratorのカラーモードに準ずるのでCMYKモードのデータに貼り付けた時点でRGBからCMYKのカラーに変換されています。ただしその場合、埋め込んだ時点で色が濁るなど変化しているので注意。)

 

カラーの混在は気付きにくいので作成前、また入稿前にはカラーの確認を行いましょう。
色はデザインの中でも重要なものですよね。

 

自分が納得できる形で印刷してもらえるよう作成しましょう。

 

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